「友情関係に契約書なんて要るの?」
「どんな時に使うの?」
「友情契約書、どんなこと書くの?」
こんにちは。
実は結構前、とあるお方からこんなお話がありました。
「友情に関する契約書、作ってくれないか?」
友情契約書という試み
そこで私は友情契約書というものを作成しようと試みました。
友人関係は契約という概念になじむか
通常、友情というのは、
「利害関係のない人間関係」です。
契約は当事者間の権利や義務の話ですから、「これはどんな契約書にしようか」と私は悩みました。
夫婦関係などは明らかに利害関係がある
世の中には婚前契約というものがあります。
夫婦になると色々な権利義務が生じます。
財産が共有になったり、
生活費の分担を決めたり、
生活においてどうしても許せないことがあったり、
とにかく婚姻というのは利害の調整が難しく、なおかつ一種の契約関係ですから、それの契約書を作るというのは合理的なことです。
友情は離れればいいだけ
しかし友情は離れればいいだけです。
そのあっさりとした関係が、友情の良さだともいえます。
でも、中にはあっさりしていない友情もあります。
「そんな友情を想定してみてはどうだろうか」と私は思いました。
友情契約書の内容
というわけで、大まかな内容ができました。
友情契約書の条項① 借金やそれを誘発する相談の禁止
友情とお金はなるべく分けた方がよいです。
金銭の貸し借りは健全な友情関係を壊してしまいます。
故に、そういった行為を契約により規制するようにしました。
友情契約書の条項② 秘密保持義務
友情というのは、非常に相手との距離が近くなることを言います。
その中で信頼が生まれれば、あまり人には話したくない秘密を話したくもなるでしょう。
けれど、結構人の口は軽いです。
ですから友情契約で、秘密保持の条項を作ってしまうのはどうでしょうか。
友情契約書の条項③ 相互扶助の規定
安易なお金の貸し借りは禁止しますが、やはり本当に困った時の相互扶助は大切です。
理想の友情を宣言し、絶交するための契約書
そうして作成している中で、私は思いました。
この友情契約書は「絶交するための契約書」なのではないかと。
目的や定義で理想の友情を宣言
本人が理想とする友情を最初の条項(だいたい、目的や定義の部分)で書いていきます。
「こんな友情関係を作りたい!」という情熱の下に書いてしまってもいいでしょう。
契約解除=絶交の条項が一番大切
私的な考えですが、
「高貴な理想とは、低俗さの徹底的な排除である」
と思うことがあります。
(私は高貴な人間ではなく、その辺にいる俗っぽい人間です。笑)
理想的な友情の実現のためには、やはりそうでない友情は契約解除=絶交できるようにする必要があります。
契約書とは妥協できないことの表現
そもそも契約書とは、
「ここは証拠を残してまで(後々争う覚悟を持って)、妥協できない」
という表現という側面があります。
特にこだわりがないのなら、契約書がなくても大体の物事は成立します。
結婚、商売、プレゼント、そしてもちろん友情も。
契約書を作るというのは、やはりどうしても「理想のためにそうでないものを取り除く」という綺麗事ではないところがあります。
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これから、契約社会にはなるだろう
結婚、LGBTQのパートナーシップ、そして友情。
私は、これからは契約社会にはなるだろうと考えています。
そもそも、お互いが別々の人間で、別々の感性、思想である限り、
どこかで関係の歪みは生じてしまうものです。
多様性=個別具体的契約社会
多様性が叫ばれてから久しいですが、多様性を守るためには、
慣習から個別具体的な権利義務関係の策定へ、動かなければなりません。
共同作業は必ず意思がぶつかり合う
ペットの世話、子供の世話、外食や飲みに行く際の費用負担、部屋の使い方、インテリアの選び方、
ありとあらゆるところに、意思の相剋があります。
オーダーメイドの契約書を。必要ならば行政書士に相談を
商売だけでなく、生活のあらゆる場面で自分専用の契約書を作るのもいいかもしれません。
幸せが至高の財産であるならば、
感性や感情も、立派な財産です。
その財産を守るために、最低限の約束をする、それは当たり前のことかもしれませんね。
今回の友情契約書は、なんだかそんな来るべき未来の先取りかもしれない、
そう思わせていただきました。
ありがとうございました。
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